『村上春樹の100曲』(立東舎)関連情報まとめ

Spotifyに『村上春樹の100曲』のプレイリストを作りました。リンクはページ最下部から(7/2)

※中国語訳の出版が決まりました(7/9)

※3刷が決まりました(7/10)

※『朝日新聞』朝刊に広告が載りました。こちらも快調な石井千湖さん『文豪たちの友情』との二本立てです。千湖さんのツイートをページ最後に貼らせていただきます(7/12)

※3刷出来しました(7/31)

※4刷が決まりました(8/14)

※4刷出来ました(9/3)

 

栗原の編著として『村上春樹の100曲』(立東舎)が6月15日に発売されました。共著者は、藤井勉、大和田俊之、鈴木淳史大谷能生の4名。2010年に発表した『村上春樹を音楽で読み解く』(日本文芸社)と同じメンバーです。

ありがたいことに、発売からわずか5日目の6月19日に重版が決まりました。想定外に多い部数の増刷でびっくりしたのですが、担当編集者いわく「売れてる」とのこと。

村上春樹の100曲 (立東舎)

村上春樹の100曲 (立東舎)

ツイッターでちょこちょこお知らせしていたのですが、情報が溜まってきたので、このブログにまとめておくことにしました。

 

まず、発刊イベントがふたつほどあります。

ひとつめは、6月21日のブックファースト新宿店さん。登壇者は、大和田、藤井、大谷、栗原の4名です。鈴木さんだけ都合で出られず。ブックファーストさんのイベントは同店で当該本を購入するのが必須なためやや敷居が高いのですが、まだ買い求められていない方はご検討ください。もう明日ですが。

栗原裕一郎さん×藤井勉さん×大和田俊之さん×大谷能生さん『村上春樹の100曲』(立東舎)刊行記念 トーク&サイン会 開催!

http://www.book1st.net/event_fair/event/page1.html#a_1291

終了しました。6/21のトピックのツイートを。

 

ふたつめは、7月9日の下北沢B&Bさん。登壇者は、鈴木、大谷、大和田、栗原の4名です。藤井さんだけ都合で出られず。

栗原裕一郎×鈴木淳史×大谷能生×大和田俊之
「あなたとハルキと音楽と」
村上春樹の100曲』(立東舎)刊行記念

http://bookandbeer.com/event/20180709/

終了しました。7/9のトピックのツイートを。

 

実はもうひとつ、タワーレコード渋谷店さんからもイベントの打診をもらっていたのですが、改修工事とぶつかってしまったそうで、残念ながら流れてしまいました。本はたくさん仕入れてくださっているそうなので、探していて他店で見つからなかった方はタワレコへ行ってみてください。

イベントは、登壇者の担当パートにあわせて、ジャンル別にテーマを設定しようということになりました。ブックファースト新宿のほうは「ポップス・ロック」、B&Bのほうは「クラシック・ジャズ」を中心に話をする予定です。まあ、脱線が予想されますが。

 

立東舎さんも展開に力をいれてくれていて、プロモーションのための鼎談がサイトにアップされています。『村上春樹を音楽で読み解く』巻末に収録されていた、大谷・鈴木・栗原の鼎談を転載したものです。当時けっこう評判の良かった記事です。『村上春樹の100曲』の前提というか背景になっている面もあるのであわせて読んでいただくとより楽しめるのではないかと思います。

特別鼎談:大谷能生×鈴木淳史×栗原裕一郎 「音楽」で読み直す2010年までの村上春樹

http://rittorsha.jp/column/2018/06/2010.html

http://rittorsha.jp/column/2018/06/2010-1.html

 

もうひとつプロモーションがてら、本の発売にあわせて、「村上春樹の終焉 付録・村上春樹論ベスト5&ワースト5」という評論文を電子書籍にして、Kindleダイレクト・パブリッシング(KDP)から発売してみました。『ユリイカ』2011年1月臨時増刊号「総特集☆村上春樹 『1Q84』へ至るまで、そしてこれから…」に発表した原稿です。250円。Kindle UnlimitedやKindleオーナーライブラリーでも読めます。

以下、Amazonに書いた内容紹介文です。

編著書である『村上春樹の100曲』が先日2018年6月15日に立東舎(リットーミュージック)から発売されました。
それを記念して、というより便乗して、『ユリイカ』2011年1月臨時増刊号「総特集☆村上春樹 『1Q84』へ至るまで、そしてこれから…」に発表した評論文「村上春樹の終焉」を電子書籍化してみました。『1Q84』の発売を受けて組まれた特集です。
約2万字、400字詰め換算で50枚ほどの分量を、EPUB3に準拠した縦書き電子書籍として作成しました。巻末付録は、村上春樹論のベスト&ワーストをそれぞれ5冊ずつ栗原が独断で選び、どこがどう良くて、どこがどうダメなのか、手に取るようにわかるレビューをつけたブックガイドです。
村上春樹は、世界的作家であるからという理由だけでは説明がつかないほど数多く論じられてきており、この原稿が書かれた2010年当時で、120冊ほども春樹だけを論じた本が出版されていました。それから8年が経ち、以後は数えておらず把握していないのですが、現在ではヘタしたら2~300冊くらいあるかもしれません。
普通の読者はそんなものあんまり読みませんよね? ましてや主だった本に目を通そうなんて考える人はまずいませんよね?
じゃあ、おれがやるよ! ということで読んで書いたのがこの「村上春樹論の終焉」です。
村上春樹はどんなふうに語られ始め、誰のどんな批評が価値をかたちづくってきたのか。はたまた春樹は文壇でどんなふうに扱われてきたのか、批評家たちは春樹をめぐってどんなバトルを繰り広げてきたのか。春樹論バブルはいつどのようにして始まりどう推移してどうなったのか、などなど、村上春樹論を通して、村上春樹という現象の蠢きの素描を目指した、一種の、そう、愛と憎しみと悲しみに彩られたドキュメンタリーとして読んでいただければ幸いです。
面白かったら、『村上春樹の100曲』もぜひよろしくお願いします。

上の鼎談「「音楽」で読み直す2010年までの村上春樹」に出てくる、

鈴木 「記号扱いするのがカッコイイんだぜ」という時代だったんですよね。

栗原 初期の川本三郎の評論が尾を引いているんだよね、たぶん。

とか、

大谷 結局、芥川賞は獲っていないですよね。

栗原 それも根深い問題として残ってるんだけど、芥川賞とは別に批評党派の派閥争いみたいなものの指標に使われるようになっちゃった面もあって、なかなかフラットに扱われにくい作家になってしまった。

といったやりとりの背景や詳細は、この「村上春樹論の終焉」を読むと一目瞭然です。春樹がどう語られてきたか、扱われてきたのかというのは、春樹論が膨大になりすぎたためか意外と整理されずにきてしまい(整理がないわけではないが、アカデミズムの人がやっているものばかりで、詳細になりすぎて概観するにはかえって不便だったりする)、流れを正確に踏まえている人が案外少ない。そこを力業でガッとまとめたのがこの「村上春樹論の終焉」です。なぜ「終焉」かは読んでいただくとわかります(当たり前ですが)。

プロモーションなら無料だろ!という突っ込みは重々承知なのですけれど、この原稿、(『ユリイカ』の原稿料では――小声)コストが全然回収できていないんですよ。つまり赤字のままなのです。そこそこ気に入っており、春樹読者の役にも立つはずだから評論集にでも入れようと考えていたものの、なかなか機会がなく。KDPへのチャレンジもかねて懸案だったので、この機会にと電子書籍化してみた次第です。

レーベル名は「雪かき文庫」にしました。もうこれ以外にないだろう、というか「雪かき文庫」と浮かんで以降、他の名称を考えることは不可能になりました(笑)。

 

電子書籍EPUBというフォーマットで作られています。今回初めて取り組んでいまさら知ったんですが、EPUBの中身ってXHTMLCSSなんですね。

「なんだよ、お前、そうだったのかよ」と10年ぶりくらいにCSSと格闘。ところがKDPのほうで施される変換が難物で思いのほか苦労しました。ツイッターで教えてもらったところ、KDPの独自仕様らしい。なんだよ、お前、それ。まあ、そのへんの話はまたの機会にでも。

ということで『村上春樹の100曲』よろしくお願いいたします。

 

7/2追記

Spotifyに『村上春樹の100曲』プレイリストを作りました。担当者指定の音源が見つからなかったものは別録音・演奏で替えていますが、残念ながら何曲か抜けができてしましました(USアカだと聴けるものもある)。本とあわせてご利用ください。

7/12追記